21日目 知りたい話
徴産制 という本を読みました
たまたま手に取ったSFマガジンに
というコラムがあり、その中で紹介されていた作品です
新型のウイルスによって若い女性の大半が死に、若い男性が性転換して2年間女性として過ごすことを義務付けられた未来の日本を舞台に描かれる5篇
徴産制自体、女性を消費する的な価値観が根底にある、男性が男性の為に作った制度であるけど
それを経験する登場人物が今まで女性が当たり前に受けてきた差別や、男性から女性になった産役男としての差別を受けて、あらゆる気づきや考えの変化に至るわけで
それで僕も気づくわけで
気づいたということは今まで全く目がいってなかったということであって
とにかくそんな気づきの多い読書体験でした
本とは関係ないですが
街を歩いているとぶつかられる、というなんだかよくわからないことが
女性のあいだでは当たり前として存在していることを知り、驚きました。そんな当たり前が想像しているより遥かに多くあるのだろうと
話の中で
生き残った女性たちに今まで向けられてきたそれと同種の、さらに強調された目線が向けられ、より生きにくくなっている様子も印象的でした
大きなシステムの根っこにあるものが変わらず存在するさまが描かれているようで、それが想像しうる形であることに虚しさを感じました
性転換を機転として、物語が動いていくので
トランスジェンダー的なトピックも多いです
僕らの世代だと金八先生での上戸彩さんの役を印象深く覚えている方も多いかと思いますが
あれ一体何年前やねん、という感じですよね
変わってきてはいるけど、変わらないものがあり、それにより嫌な気持ちになることはまだまだ多い
僕自身は恋愛対象は女性で
だからといっていわゆる 男らしさ 的なものに憧れを全く抱かない、そういうタイプですが
そんな僕がそう思っているだけで
様々なパーソナリティを持った人たちが
それぞれ違うことを思ってるかもしれない、そうであれば知りたいし知るべきであると思った
そういうきっかけになる本でした。僕にとっては
こういった題材の本は、ほぼ間違いなく対極にいるような人に届くことはないでしょう
関心ある人の関心をより深める
やさしい人をさらにやさしくすることしかできない、そう思います
でも1人の人間が生きていく上でやさしい人がさらにやさしくなることってかなり重要ですね
フェミニズムって言葉自体が誤解を招きやすい言葉になってしまっているけど
それもその言葉が生まれる前提によるところが大きいと思う
新しいものを既にある言葉で表さなければいけない以上、説明するための言葉自体に差別的な前提条件が含まれてしまっている場合がありますもんね
本当に言葉って難しいなと日々感じます
普段の何気ないやりとりでも
やさしくありたいなと思います。完